今日、わが国にとどまらず、地域社会における各種問題の解決や、社会の再生・活性化は、喫緊の課題となっているが、そうした課題解決に、人と人との結びつきや相互作用、積極的な情報発信や情報流通を一つの起爆剤にしようという試みには一定程度の蓄積がある。しかしながら、こうした政策課題を、ネットワークが紡ぎだす社会的関係性や、そこで醸成される信頼、協調行動の帰結にまで射程を拡大して論じた研究成果には、いまだ、それほどの蓄積がないことも事実である。本書は、こうした現状を踏まえ、具体的な地域の再生事例等を検証しながら、社会ネットワーク分析の視点に立ち、社会的ネットワークや社会に埋め込まれた資産の活用を通じた地域再生・活性化を考える上で、看過し得ない論点を抽出することを目指したものである。本書は、一貫して、コミュニケーションという視軸からコミュニティを読み解こうとする。コミュニティのありようを、当該地域の歴史、文化、風土といった要素とのかかわり、社会的文様が織り成すコミュニティの姿の中に位置づけ直し、そこに住まい、息づく人々の相互作用がもたらす帰結に着目しつつ考察していく。