ドイツの名門、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の第1コンサートマスターを長年つとめたのち、日本に移住。霧島国際音楽祭を創設し、新日本フィルハーモニー交響楽団への客演など旺盛な演奏活動を展開するとともに、東京藝術大学客員教授として後進の育成に後半生を捧げた不世出の音楽家ゲルハルト・ボッセ(1922–2012)。その音楽人生を、彼自身の言葉を描線として紡ぎ出す。心の奥深くに余韻を残す珠玉の回想録。解説:那須田務はじめに雨の歌リンツ中央駅一九四三年四つの厳粛な歌藝大官舎の住人たち十二月の頌歌ヒヤシンスのころ月夜の翼雪の記憶歌う男グライツの公園で中国の花瓶父と子の探しものドアノーの窓から作品61をめぐる備忘録ガラスを吹く人惜別の譜──(一)薔薇の別れ (二)主よ、あなたの優しい天使に (三)ト短調、去りゆくまなざし (四)あすの朝(モルゲン)レクイエムヴォーカル・シンフォニーエピローグ──音を知る人──ゲルハルト・ボッセの人と芸術(那須田務)ゲルハルト・ボッセ年譜