今夜は十五夜。14ひきの子どもたちは、おうちのある大きなクヌギの木の上に登り、何かを作っています。「木の枝 切って、 ひもでしばって、 なにつくってる?」子どもたちが力をあわせて、できあがったのは、みはらしのいいお月見台。「ずっと ずっと 遠くが見える。 やっほー、おとうさんたち はやく おいでよ」まっかな夕日がしずみ、あたりの森一面がもえるような夕焼けです。夜が広がり、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんたちものぼってきました。栗の実やどんぐり、おだんごをお供えしたら、山の向こうから、まんまるなお月さまがあらわれました。 「おつきさん ありがとう、 たくさんの みのりを ありがとう、 やさしい ひかりを ありがとう。」お月見を題材に、自然の恵みへの感謝を描いた人気ロングセラー「14ひきのシリーズ」の第6作。時間の経過とともに、夕暮れや月の光など、森の中の光と色の変化が繊細に美しく描かれ、その場にいるような森の空気や臨場感が伝わってきます。お月見台を作るのに、お父さんに代わり中心になってがんばるいっくんやにっくん、小さなくんちゃんをやさしく気遣うさっちゃんの様子など、本作でも、家族1ぴき1ぴきが丁寧に描きこまれ、仕草や表情から14ひきたちの会話が聞こえてくるようです。